電気用品安全法とは? 法律の対象となる電気用品について
普段使っている家電には「電気用品安全法」という法律の対象となっているものがあります。この法律で対象となっていないものは販売などに規制があるのをご存じでしょうか?
この記事では、電気用品安全法とその対象となる電気用品について紹介していきます。
1.電気用品安全法って?
1-1.電気用品安全法とは
「電気用品安全法」は、電気用品の製造・販売においてルールを作ると共に電気用品を使う上での安全確保を民間事業者に促す法律です。電気用品の中で電流の電路となる配線・コードなど電源と、その電源につながっている電気用品が規制対象となります。
この法律の対象となる電気用品は457種類あり、その中で構造的・使用状況の面から見て火災・放電などの危険や障害が発生しやすい電気用品を「特定電気用品」として116種類定めているのです。
この電気用品安全法に基づく表示がされていない電気用品は販売することができない等の制限を受けることになったり、無断で販売などすると罰則が発生したりします。
2.PSEマークは2種類ある
2-1.PSEマークとは
電気用品はすべてが「電気用品安全法」の対象となるわけではありません。電気用品の中で規制を受けるのは全部で457品目です。その中で、さらに安全面から「特定電気用品」と「特定電気用品以外」に分けられます。
その電気用品を分かりやすく識別できるマークが「PSEマーク」です。PSEマークはアルファベットで「PSE」と書かれたマーク。このマークをひし形で囲んでいるものが特定電気用品で、まるで囲んでいるほうが特定電気用品以外になります。
2-2.特定電気用品とは
特定電気用品に含まれるのは電線・ヒューズなどの配線器具が含まれるのです。用品から見ても分かるように感電の危険性が高いものが含まれます。特定電気用品には116品目が登録されているのです。
その他に電熱式おもちゃや、電気温水器など熱を発する電気用品も含まれます。
2-3.特定電気用品以外の電気用品とは
特定されない電気用品には電光灯や電気歯ブラシ・電気ナイフなど電源をコンセントから直接電源を取らずにACアダプターを経由する電気用品が対象となります。
3.対象となる電気用品
電気用品安全法では一般用電気工作物を対象となっているようです。たとえば、ビルなどの建物に設置される分電盤などの配線設備が該当します。また、一般用電気工作物につなげて使う電気用品も該当するのです。アダプターなどがこの一般用電気工作物にあたります。冷蔵庫やアイロンなどは、特定以外の電気用品です。
4.対象外の電気用品
電気用品安全法にて規制されている電気製品は457品目のみ。それ以外の電気製品は対象外ということになっています。パソコン・プリンター・モデムなどもこの法律の対象外となっているのです。
対象とならない電気製品にPSEマークの表示は義務化されていません。しかし、対象外の電気用品でも事故や被害は発生しているのが現状です。そのため、海外ではすべての電気製品を対象とする法律が成立しています。
5.電気用品安全法の認可を受ける
5-1.認可を受けるには
日本で電気用品を取り扱う・販売するには法律の認可を受ける必要があります。
製造・販売・輸入した電気用品が「電気用品安全法」の対象となる場合は役所などに電気用品を取り扱うための届け出をしましょう。
5-2.特定か特定じゃないか
扱う予定の電気用品が特定電気用品の場合は登録検査機関にて適合性検査を受検する必要があります。その後、製造工程での検査・完成品の検査と試料の検査を実施しましょう。すべての検査に合格するとPSEマークの表示を許されます。
特定ではない場合は検査の必要はありません。ただし、事業を始めるための届け出を行う必要はあるため忘れないようにしましょう。
6.電気用品安全法の禁止行為と影響
6-1.マークが付いていないと
2001年から「電気用品安全法」が施行されてからの電気用品には基本的にPSEマークが付いています。そのため、法改正以前の電気用品にはマークが付いていません。マークが付いていないと販売を行うことができないのを知っておきましょう。
PSEマークが付いていない電気用品は中古品としてリサイクルショップにて買い取りができません。また、輸入品においてはPSEマークの認可を受けていれば販売できます。しかし、付いていないものは原則販売も買い取りもできないと思っておいて間違いないです。
6-2.安全は確保されたが
電気用品安全法によって私たちの安全面は向上しました。しかし、この法律ができた当時は中古電気用品の販売が一斉に規制される危険性があったため中古販売店などを中心とした反対運動が起こったのです。
その運動もあってPSEマークが無くても電気用品の販売は事実上容認する方向性に動きました。しかし、法律を改訂したり変わらない曖昧(あいまい)な線引きを繰り返したりする姿勢に不満が消えることは無かった法律です。
6-3.法律の猶予期間
法律には移行するための猶予期間が設けられますが工場などの電気製品はこの猶予期間内に間に合わないことが問題となりました。また、中古商品の多くにPSEマークを付けることができずに転売・中古販売ができなくなる問題が発生して企業によっては倒産へと追いやられる危険性があったのです。
6-4.電気用品安全法の現在
現在ではPSEマークだけでなくても電気用品取締法の表示がされている電気用品であっても事業者は販売できるようになっています。電気用品安全法・電気用品取締法のどちらの認可も受けていないものは違法行為になりますが、そのどちらかを受けていれば大丈夫です。
また、電気用品の中にはビンテージ品など法律が成立する以前に使われていた価値ある電気用品もあります。そうした電気製品も経済産業大臣に申請して認可を受けることで販売することができるようになっているようです。
7.電源のトラッキング問題
「トラッキング」とは電気製品の電源プラグを差し込んだまま使っているときに起こる火災現象。
プラグとコンセントの間に溜(た)まるホコリなどを除去しないままでいると、湿気を呼ぶことになります。その状態で放っておくと火花が発生して火災になる現象がトラッキングです。
このトラッキングを未然に防ぐために電気用品安全法ではプラグに関する範囲を広げる新基準を設けました。この基準によって新たに申請などの手間は入りませんが、新基準への適合確認は行う必要があります。販売事業主の人は特に注意しましょう。
8.まとめ
いかがでしたか?
この記事では電気用品安全法に関する情報をお伝えしました。さいごに、電気用品安全法の大事なポイントをまとめておきましょう。
- 電気用品安全法は電気用品の販売など事業主に対する規制が中心の法律。
- 直接電源装置などを含める特定電気用品と、電気スタンドなどの特定以外のものがある。
- 消費者にわかりやすいようにPSEマークが付けられている。
- 対象となる電気用品は457種類だけで、対象外のものが多い。
- 対象外のものでも事故などには気を付ける。
- PSEマークが付いていると中古品店でも販売・買い取りができる。
消費者の目安となるPSEマーク。しかし、この存在を知らない人も多いかと思います。自分が売りに出そうとしている電気製品にマークが付いているかしっかり確認しておきましょう。